2010年5月25日火曜日

ダーク

翌日、昼過ぎにもかかわらず、山手線内回りは混んでいた。ノートを持った小学生が車両の大半を占拠している。大人たちは棒杭さながら子供たちの間に突き出て、喧騒に耐えるしかない。私も旅支度をした大きめのナイロンバッグを胸に抱えたまま、子供たちの発する日向の犬のような匂いが嫌で、ドアに背中を押し付けて立っていた。ショートカットの女の子がじろりと私の顔を見てから、興味なさそうに中吊り広告に顔を向けた。私は、その怖じない目にたじろいだ。今は他人に何をされても腰が退ける。たとえ、子供でも。傷付けられるのを恐れているのではなく、他人にされる仕打ちに、自分がどうし返すか見当が付かないからだった。それほど、あらゆることがどうでも良くなって、身内で暴力的とも言える嵐が吹き荒れている。

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