2010年5月30日日曜日
天使に見捨てられた夜
私は意気消沈して焼香の列に戻った。もうすでに、数えるほどしか人が残っておらず、寂しくなっていた。家の中に入り、渡辺の貧相な棺の前で焼香していると、多和田と目が合った。その厳しい目つきで、彼もまた私の偽証を知っているのだと気がついた。最近、多和田が現実的で保守的すぎると、私は時々腹を立てていたが、それは私の思い上がりだったのだと恥ずかしく思った。なぜなら、彼はワタシのような失敗は絶対にしないだろうから。
2010年5月25日火曜日
ダーク
翌日、昼過ぎにもかかわらず、山手線内回りは混んでいた。ノートを持った小学生が車両の大半を占拠している。大人たちは棒杭さながら子供たちの間に突き出て、喧騒に耐えるしかない。私も旅支度をした大きめのナイロンバッグを胸に抱えたまま、子供たちの発する日向の犬のような匂いが嫌で、ドアに背中を押し付けて立っていた。ショートカットの女の子がじろりと私の顔を見てから、興味なさそうに中吊り広告に顔を向けた。私は、その怖じない目にたじろいだ。今は他人に何をされても腰が退ける。たとえ、子供でも。傷付けられるのを恐れているのではなく、他人にされる仕打ちに、自分がどうし返すか見当が付かないからだった。それほど、あらゆることがどうでも良くなって、身内で暴力的とも言える嵐が吹き荒れている。
2010年5月20日木曜日
2010年5月15日土曜日
2010年5月10日月曜日
2010年5月5日水曜日
雨の化石(贅沢な恋愛)
感傷に浸るのは、大人の男のすることではないなあと、僕は思うのだ。だから、ぼくは、自分の心の内に生まれる甘いしずくのような思いを人に伝えることはない。ぼくは、人前では、ロマンを表すような言葉を用いない。涙ぐみたくなるような感情の霧が内側に広がる時、ぼくは、さっと目をそらす、それでないと、僕と言う人間は、いつまでも、それを味わってしまい呆けた表情を作ってしまうのだ。ぼくは、美しい物が、とても好きだ。美しくて、はかなくて、悲しみを含む故に、喜びを増して輝く、そんなものたちが大好きだ。
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