2009年12月30日水曜日

天使に見捨てられた夜

冷たく乾いた風とともに、3丁目のデパートの方向からクリスマスソングが流れてくる。毎年繰り返されるこの年中行事は、いつも、この時期には何をしていたのだろうと振り返るきっかけを作ってくれる。ちなみに、去年は北海道の父のところの客となっていた。あの年だけは年末を一人で過ごす勇気がなかったのだ。弱虫め、と自分を呪った。

2009年12月25日金曜日

OUT

おめえ、足立の中学出てゾク入って、それだけではぐれてんじゃねえか。今、おめえは街金なんかやってる。俺はヤクザだ。はぐれっぱなしじゃねえか。ていうより、もうオヤジたちからすぽいるされきってんのよ。でもな、そういうはぐれた奴は、村上龍とか女子高生と同じなんだよ。かっこいいんだよ。わかるか、これ。

2009年12月20日日曜日

OUT

邦子の内部には、金を持ち、派手な格好をして目立ちたいという強い願望と、人目につかない暗がりで蹲っていたいという劣等感とが、コインの裏表のように存在している。

2009年12月15日火曜日

OUT

邦子の内部には、金を持ち、派手な格好をして目立ちたいという強い願望と、人目につかない暗がりで蹲っていたいという劣等感とが、コインの裏表のように存在している。

2009年12月10日木曜日

OUT

佐竹は山本を、そして弥生を軽蔑している。佐竹にとって軽蔑ほどあらゆる行動を萎えさせる感情はなかった。

2009年12月5日土曜日

OUT

「一人で出て行ってしまうから。自由になりたいから。」「一人になることが自由になることでしょうか」「今はそう思ってる」「寂しすぎます。可哀相」「でも」「私は可哀相じゃない。私はじゆうになりたかったから。これでいい」

2009年11月30日月曜日

嫌われ松子の一生

カチッ。何かのスイッチが入ったような音が頭の奥で聞こえた。ロッドを巻く真似をしてみた。シザーを操る真似をして見た。ピンパーマ。ストロークカット。レイヤーをつけ、最後はフィンガーブロー。手を使い、思いつく限りの技術を再現していく。夢中になった。指がよろこんでいた。この十数年間、滞っていた血流が、ふたたび動き始める。意識が鮮明になってくる。封印され、埃を被っていた財産が、小躍りしながら飛び出てくる。できる。憶えている。我に返ると二時間が過ぎていた。

2009年11月25日水曜日

ゲルマニウムの夜―王国記

僕が宇川君を疎ましく思うことは、ときどき独り言をするような調子で口笛を吹くことだ。その音色が幸福そうで、得意そうなことに耐えられない。身の程知らずの小悧巧が小賢しさという音程を用いて口笛を吹き鳴らしているというところだろうか。とにかくそんな小さなことがひどく癇に障るのだ。

2009年11月20日金曜日

ゲルマニウムの夜―王国記

自然食好きの有機野菜好きにこの寄生虫の卵の充ちみちた糞の海を泳がせてやりたい。僕の最も嫌いなものは、選別にすぎないくせにそこに自然保護という名を冠して小市民の自尊心を擽る西欧白人型の新たな植民地主義だ。もっとも、このような小賢しい言葉を脳裏に並べて思考したような気になったあとは、必ず憂鬱な自己嫌悪が這い上がってくる。

2009年11月15日日曜日

ゲルマニウムの夜―王国記

単純に割り切れる涙ではないことがわかりきっているのに、よろこびといった一方向にむいた鋳型に当てはめようとするのは、単純な悪意の中でも最悪なものだろうと考え直したからだ。

2009年11月10日火曜日

ゲルマニウムの夜―王国記

僕はリヤカーを農場まで引っぱるしかないのだ。エネルギーの割り振りの問題だが、脳髄にエネルギーを集中させるとろくなことがない。妄想が飛翔して収拾がつかなくなるばかりだ。しかも僕の場合、妄想がとことん下卑ていて文学的でないのが悲しいし、居たたまれない。僕は脳を頭蓋の中から抜きだして、このぬかるんだ赤土とまぜこぜにしてしまいたい。栄養は筋肉で消費するべきだ。

ゲルマニウムの夜―王国記

僕はリヤカーを農場まで引っぱるしかないのだ。エネルギーの割り振りの問題だが、脳髄にエネルギーを集中させるとろくなことがない。妄想が飛翔して収拾がつかなくなるばかりだ。しかも僕の場合、妄想がとことん下卑ていて文学的でないのが悲しいし、居たたまれない。僕は脳を頭蓋の中から抜きだして、このぬかるんだ赤土とまぜこぜにしてしまいたい。栄養は筋肉で消費するべきだ。

2009年11月5日木曜日

コインロッカー・ベイビーズ

案外大事なのは僕が煉瓦であの男の尖った頭を叩き潰したことだ、ときには、僕を忠実に愛しているものの頭を叩き割ることが必要だ、何のために?自分の欲求と出会うためにだ。

2009年11月1日日曜日

コインロッカー・ベイビーズ

自分が最も欲しいものは何かわかっていない奴は、欲しいものを手に入れることが絶対にできない、キクはいつもそう考えている。

2009年10月30日金曜日

コインロッカー・ベイビーズ

キク、あんた間違ってるわよ、誰かを必要とする人間なんていないものコインロッカー・ベイビーズ キク、あんた間違ってるわよ、誰かを必要とする人間なんていないもの

2009年10月25日日曜日

コインロッカー・ベイビーズ

僕はきっと笑われたくなかったのだ、そんなことやっても駄目なんだ、怯えて逃げれば逃げるほど、敵の思うつぼになる、敵って誰だ?僕を閉じ込める奴らだ、僕に嘘をつかせ、偽の生き方をさせる奴らだ

2009年10月20日火曜日

コインロッカー・ベイビーズ

僕はその人達に好かれようとずっと努力してきたのだ、その他の人達にまで、救って貰おうとして、気に入られようとしてきた、しかし、自分一人きりで戦わなくてはいけない時が必ず来る、僕はそれにぼんやりと気付いた、そして、今まで僕を守ってくれていた人間を一人ずつ遠ざけていった。

2009年10月15日木曜日

コインロッカー・ベイビーズ

死ぬんだな、とキクは思った。まったく苦しくなかった。苦しさを感じない自分に少し腹が立った。最後まで抵抗せずに諦めて降参したのだ、と気付いた。なぜ死ぬことに簡単に同意してしまったのだろうと後悔した。

2009年10月10日土曜日

コインロッカー・ベイビーズ

名前も意味も衣服も運動も剥ぎ取られて怯えているその顔を辿っていこうと決めた。これからどんなことがあってもその顔を離すまいと思った。人間の顔をした蝿を呑み込んでも、もう僕は決して忘れないぞ、怯えて泣き出す自分を嫌うことはない、その他には、どこを捜しても自分は見つからないんだから。

2009年10月5日月曜日

コインロッカー・ベイビーズ

何一つ変わってはいない、誰もが胸を切り開き新しい風受けて自分の心臓の音を響かせたいと願っている、渋滞する高速道路をフルスロットルですり抜け疾走するバイクライダーのように生きたいのだ、俺は飛び続ける、ハシは歌い続けるだろう、夏の柔らかな箱で眠る赤ん坊、俺たちはすべてあの音を聞いた、空気に触れるまで聞き続けたのは母親の心臓の鼓動だ、一瞬も休みなく送られてきたその信号を忘れてはならない、信号の意味はただ一つだ。

2009年9月30日水曜日

コスメティック

「さっきのこと聞かないんですか」
「さっきのこと」
「男の人ともみ合ってたことですよ」
「ああ…」
竹崎は本当に遠い夏の日を思い出すような表情になった。
「そんなことを聞くほど、僕は北村さんと親しくはない。せいぜいがお酒に誘うぐらいですよ」

2009年9月25日金曜日

Think or Die

畏れを抱く瞬間、自身を見つめる自らの視点は神に近づいているということだ。まるではるか上空からちっぽけな自分を見下ろすように自己の存在の卑小さを認めるとき、その視点はあたかも神の視点である。神の視点というのが言いすぎであれば、あらゆる可能性の中に自分を位置付ける視点である。

暗いところで待ち合わせ

まわりで群れている者たちに対して抱いた軽蔑は、仲間に加わるのを諦めるため、そして憧れを抱かないための選択だったように思う。だからといって話を避けていても、悲しいことしかないというのに、そうやって身を守るしかできずにいたのだ。

暗いところで待ち合わせ

まわりで群れている者たちに対して抱いた軽蔑は、仲間に加わるのを諦めるため、そして憧れを抱かないための選択だったように思う。だからといって話を避けていても、悲しいことしかないというのに、そうやって身を守るしかできずにいたのだ。

2009年9月20日日曜日

坂の上の雲

「国辱じゃからな」という。医者に見せることは、である。妙な理屈だが、おなじ時代に生きている加藤恒忠にはよくわかった。留学日本人が発疹チフスにかかって士官学校のフランス人たちをさわがすということが、どうにもはずかしい。この種の心情は、パリで無我夢中で背のびせざるをえぬ日本流学生の共通したものであった。

2009年9月15日火曜日

坂の上の雲

人間の頭に上下などはない。要点をつかむという能力と、不要不急のものは切り捨てるという大胆さだけが問題だ

2009年9月10日木曜日

ローズガーデン

ミロは物凄く頭のよい女だった。つまり、自分の快楽を喚起することにかけては絶対に手を抜かない女だということ。

2009年9月5日土曜日

座右のゲーテ -壁に突き当たったとき開く本

人間が自分に与えることのできる最も驚くべき教養は、他の人たちは自分のことなど求めてはいない、という確信である

2009年8月30日日曜日

座右の諭吉 才能より決断

師を見つける気持ちがあれば、人は見つかる

2009年8月25日火曜日

ブエナ・ビスタ―王国記〈2〉

「自分自身を笑うインテリをどう思う」「不細工。みじめ。そんなところでしょうか」「所詮は評論化って感じかな」「所詮は評論家とは」「批評しかできないんですよ。自分自身でさえも批評の対象なんだ。言葉の奴隷。ばかですね」「救いがたいか」「許しがたいです。殺したいです。どうせ生きてないんだから」

2009年8月20日木曜日

ブエナ・ビスタ―王国記〈2〉

意味がないだけならば、まあ許されもするが、爽快感がない。摂理の内包するべき疾走感がない。あるのはだらけているくせに確実で着実ないやらしい効率だ。

2009年8月15日土曜日

ブエナ・ビスタ―王国記〈2〉

注釈をしておくが私のいうばかとは、小悧巧と同義語である。小賢しさこそがばかの本質であり本体なのだ。

2009年8月10日月曜日

永遠の仔〈2〉秘密

なぜだ。欲しい物は欲しいと言えばいいじゃないか。そうしなかったから、間違ってきたんだ。人を傷付けてきた。そうじゃないのか?
いや。自分の希望や要求といったものを、もう素直には口にできなくなっていたからこそ……代わりの人間や、代わりの物ばかりを求め、他人はもちろん、何より自分自身を傷付けてきたのかもしれない。

2009年8月8日土曜日

関ヶ原〈上〉 (新潮文庫)

昌幸はこのたびのいくさ騒ぎで、取引をしようというより、賭博をしようとしている。かれはいわば名将の器量を持ってうまれながら、その活動場所が信州の小天地であったために、いかほどに働いてもついには小大名の域を脱しきれなかった。このさい三成に加担し、一期の思い出に大ばくちを打って器量相当の国持大名にのしあがるか、あるいは、西軍勝利の後に来るであろう混乱につけ入って、いっそ天下を取ってやろうとも考えていた。いずれにしても、賽を振った以上、ためらいや動揺は禁物、とこの老人は度胸を据えてかかっている。

2009年8月5日水曜日

ヒュウガ・ウイルス―五分後の世界 2

悲しい時にただ悲しい顔をしていても事態の改善はないことを彼らは子供の頃から骨身に染みて学んできたのだ。

2009年8月3日月曜日

阿修羅のごとく

「滝ちゃんはノオが多いよ」鷹男の言葉は、滝子の痛いところをついていた。「これ、きらい。あれはまちがっている。それは嫌、ノオが多いよ」

2009年7月30日木曜日

安定感と継続力

1.今ポテンシャルが高いか、低いかは重要ではない。
2.今の評価が重要なのではない。
3.楽しかろうが、辛かろうが、やることはやる、やり続ける。

2009年7月28日火曜日

会社再建―福岡を燃えさせた男高塚猛の軌跡

「今までやってきたことは正しいことだった。しかし環境が大きく変わった。正しいことでも大切なことのためにやめる勇気を持つことが重要だ」

2009年7月25日土曜日

会社再建―福岡を燃えさせた男高塚猛の軌跡

そこのお客さんから主人、調理の人までほめまくる。名刺を渡し、野球チケットを渡す。最後は全員と仲よくなり、総出で見送ってもらった。次には入った焼肉屋でもまったく同じだった。

2009年7月22日水曜日

会社再建―福岡を燃えさせた男高塚猛の軌跡

「おたくは3000万円も利益が出ていて、仮にここで50万円つかったって、利益計上すれば半分は税金なんだから実際は25万円です。これで学生10人取ったら一人当たり25000円です。学生一人採用したら生涯賃金は7000万円なんですよ。
3000万円の機械を導入するのに稟議書いて、役員会で議論するでしょ。それに比べたら7000万円の買い物をするのに一銭も金をかけないのはおかしいですよ。こんなに利益が上がっていて50万円のカネが使えないわけがないじゃないですか」

2009年7月20日月曜日

会社再建―福岡を燃えさせた男高塚猛の軌跡

「島津さんが給料を下げなかったら、他の人はついてこないよ。被害者が一番強いんだ。だから被害者になってくれない」

2009年7月16日木曜日

会社再建―福岡を燃えさせた男高塚猛の軌跡

「今日から大改革をやります」と号令したり、宣言してもできるものではない、という信念だ。それより100人のうち一人でもいいから、高塚の意図を理解してもらい、実践してもらうことが大事だと考える。高塚はそれをしっかり評価する。

2009年7月15日水曜日

グロテスク

「そうそう、いつも言ってるんですよ。お前、男の子なんか大学に行けばいくらでも付き合えるぞって。Q大生なんだから、よりどりみどりだぞってね」
さあ、どうかしら。わたしは大学生になった和恵の不恰好さ、不器用さを想像して笑い出しそうになりました。努力を信じる種族は、なぜにこうも、楽しいことを先へ先へと延ばすのでしょうか。手遅れかもしれないのに。そして、どうして他人の言葉をいとも簡単に信じてしまうのでしょう。

2009年7月14日火曜日

グロテスク

大人になっていないわたしたちは、傷付けられるのを何かで防御し、さらには攻撃に転じなくてはならないのです。やられっ放しではつまらないし、屈辱を抱えたままでは、この先、長い人生を生きていけなくなってしまうかもしれない。だから、わたしは悪意を、ミツルは頭脳を磨くのです。そして、ユリコは幸か不幸か、最初から怪物的な美貌を与えられました。でも、和恵は何もないし、磨かない。ええ、わたしは和恵に同情なんかしたことはありません。和恵はどう言ったらいいのか、つまり、この厳しい現実というものに対して、無知で無神経で無防備で無策なのです。どうして気付かないのでしょう。

2009年7月13日月曜日

重力ピエロ

理屈にもなっていない理屈をこねる若者は嫌いだ。大嫌いだ

2009年7月12日日曜日

柔らかな頬

手に手を取って見果てぬ夢を見る。恋愛は二人を互いの虜にし、自由にする。二人だけの世界で自由にするのだ。他の世界との軋轢や戦いがやってきた時、二人がより強靭になるためには恋愛だけでは足りなかった。もうひとつ何かが必要だった。カスミはそのために戦おうと手を差し伸べてくれたのに、石山が臆したのだ。

重力ピエロ

勤勉なものが得るのは、報酬と、チャンスと、信頼だよ。